TrackMan FGA Fundamental  Maximizing Distance① Club Speed

ここからはTrackManの「縦の数値」について説明していきますが、5〜7の3項目で「飛距離の最大化」について詳しく触れていきます。

ゴルフの上達において。飛距離を伸ばすことは大きな要素の一つですが、スコアアップにはまず横の数値の安定が優先されることはいうまでもありません。せっかく飛距離が伸びても、想定外の曲がりをしてしまっては大怪我の元になるからです(Fundamental 1「 Launch Direction」参照)。

また、いたずらに何かを変えることで飛距離を求めるのも、弾道が不安定になるリスクや、かえって飛距離が落ちる可能性もありますので、「何が飛距離を決めるのか」を理解した上で対策を取りましょう。

 

さて、飛距離は一体何によって決まるのかは「飛距離の3要素」としてFundamental 6でまとめますが、最も飛距離に影響するのは「Club Speed」で、早い話が、速くクラブを振れるプレーヤーは遠くへ飛ばせるポテンシャルが高い、ということが言えます。

図:Club Speed

 

Club Speedとは、インパクト直前のクラブヘッドのスピードのことです。シャフトが長いクラブほど速くなり、より遠くに飛ばすことができます。Club Speedの単位は「mph」や「m/s」を使用しますが、世界的にはmph(マイル毎時 miles per hour)が一般的ですので、ここではmphで説明します。

 

ドライバーでのClub Speedで考えた時、club speedが1mph速くなると、同じインパクトであれば3 yard伸びます。つまり先述の通り、より速くクラブが振れた方が、より遠くに飛ばせるポテンシャルがあるわけです。

 

また、ゴルフの上手さ(Handicap)とClub Speedにも正の相関があり、Club Speedが速いプレーヤーほどスコアが出るというデータもあります。

図:HandicapとClub Speedの相関関係

 

上の図は各Handicapの平均Club Speedを示しております。つまり、Club Speedが速い人はスコアも出せるようになるポテンシャルが高いということです。確かにClub Speedが全てではありませんが、Club Speedが遅いプレーヤーは、それがスコアアップのボトルネックになってしまう可能性があるので、ある程度の改善が必要です。

 

では、Club Speedは何によって決まるのでしょうか?それは2つの要素に分けることができます。

1つ目は「股関節伸展能力」です。股関節伸展とは、屈曲した股関節を伸ばす動きで、骨盤を立ち上げるような動作です。ジャンプする際には膝を曲げてお尻を下げますが、そこから曲げた股関節を伸ばす動作をイメージして頂ければ分かり易いと思います。いわゆる「バネがある」や「足腰が強い」と言われるのは、この「股関節伸展能力」が高い状態を指します。

「走る」「投げる」「跳ぶ」「打つ」などの様々なスポーツ動作は、この股関節伸展をパワーの源として末端にパワーを増幅させながら伝えることで強く、速く、正確な動作を実現します(運動連鎖、後述)。このパワーの源である股関節伸展のポテンシャルがClub Speedに大きく影響するので、その強化が重要です。

図:股関節伸展

 

股関節伸展能力の向上を狙うなら、「ハムストリングス」と「大臀筋」を中心に鍛えることに主眼を置きましょう。ハムストリングスとは太ももの裏側の大きな筋群を指す言葉で、大腿二頭筋や大内転筋などが中心です。一方、大臀筋はまさに「お尻」の筋肉です。

専門的にはスクワットやクリーン(バーベル上げ)等でどちらも鍛えられますが、脚を前から後ろに動かす運動(歩行・ランニング等)でも問題なく鍛えられます。構造上、肉離れ等の怪我が誘発されやすい部位ですので、注意して刺激を与えましょう。

 

図:大臀筋とハムストリングス

図:運動連鎖(キネティックチェーン)概念図

※注 この図は有名なものですが、実は間違えております。「足」「膝」は「ハムストリングス・大臀筋」が正しいです

2つ目は先述した「運動連鎖(キネティックチェーン)」です。せっかく大きなパワーが股関節伸展によって生み出されても、実際にクラブを振る末端(ゴルフの場合は手になります)にうまく伝わらなければ意味がありません。

運動連鎖とは、身体の中心部分にある筋肉(大筋群)の動作にほんのコンマ数秒遅れて一つ末端の部位が動き、その動作が末端まで連鎖することで、動作速度を最大化することをさします。大きな動きのあるスポーツではほぼ間違いなく使う動きで、身体の中心で生み出されたパワーが、体の末端へと滑らかな動作を伴って流れていくような様から、「パワーフロー」とも呼ばれます。

 

このパワーフローが効率よく行われると、パワーが手に届くときには動作速度は最大化され、クラブヘッドが加速します。これがClub Speedに大きく影響するのです。

逆に、このパワーフローの効率が落ちると(ゴルフでは「手打ち」と表現します)、末端への加速がうまく行われません。結果として、著しくClub Speedは低下するだけでなく、ストロークの再現性にも悪影響があります。

 

運動連鎖を伴ったパワーフロー効率の良いストロークをするには、グリップ・アドレスが正確であること(参照「ストロークの基本」)、そして上半身のリラックスが必須事項になります。「短い距離のショット」の練習時、意識して上半身をリラックスしてボールを上げることで、パワーフロー効率の向上を狙うことができます。

 

お次はこちら↓